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ナイチンゲール看護研究所
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ナイチンゲール思想に出会って30年 …… 金井一薫(1997年記)

  私が下記のナイチンゲールの文章に出会ったのは、看護師の資格をとって間もない
1970年のことだったと思います。

 看護の仕事は、快活な、幸福な、希望に満ちた精神の仕事です。
犠牲を払っているなどとは決して考えない、熱心な、明るい、活発な女性こそ、本当の看護師といえるのです。

(浜田泰三訳:ナイチンゲール書簡集、山崎書店1964年)

 これを読んで、ナイチンゲールは本物の看護師だと直感しました。以来、虚像でない実像のナイチンゲールに出会って見たい、そしてナイチンゲールが後世の看護師たちに残そうとしたものを極めてみたいとの思いに駆られて、ひたすらナイチンゲール思想の研究に打ち込んできました。 そのナイチンゲールとの付き合いは、とうとう我が人生の半分を超えて30年にもなり、時代は新たな世紀に入ろう
としております。               

 この30年間、ナイチンゲールの生い立ちを研究し、彼女の著作の大半を繰り返し繰り返し読み、英国にその揺籃の地を訪ねて彼女の生きた証を確かめ、そしてナイチンゲール思想を今日とこれからの我が国の看護の世界に、どう結びつけていくべきかを考え続けました。
 その結果、若い頃は曖昧模糊としていた「看護の原理」が、今では私の内にくっきりとした形となって現れてきました。これは一看護師として何にも代え難い悦びであり、ナイチンゲール研究を続けてきて幸せだったと心から思っています。

 私は看護という仕事が好きですし、この仕事の真価が多くの人々に理解され、実践されることを心から願っています。そのためには、何よりも看護を提供する看護者自身が、己の仕事の真価を知り、その実現に向けて研鑽を積む努力を惜しんではならないと思います。

 しかしながら、日本の看護者の大部分は、まだ「看護の原理」を確固鮮明にはつかんでいないように見受けられます。あまりにも多くの言葉が語られ、あまりにも多くの出版物が溢れる時代になりましたが、実践家としての看護者の心は、いまだに不安定に揺れ動いています。「看護って一体何だろう?」「看護はこれでいいのだろうか?」と。これでは、せっかくナイチンゲールが究明し後世に伝えようとした「看護の真髄」が、継承されているとは言い難いのです。

 そこで私は、私自身がつかんだナイチンゲール思想を語り継ぎ、再構成する役割を担おうと決心しました。幸いこの20年間、看護界からの熱意ある要請を、頻繁にかつ絶えることなくいただきました。その要請に答えるべく、内的な準備に専心しているうちに、私のナイチンゲール研究は、それと並行してさらに深行していきました。その意味では、我が国の看護界が私を支え、応援し、くじけることなく一筋の道を歩むことを許容してくださったのだと、感無量の思いです。また個人的にも多くの先輩諸氏から、学問的なご教示や臨床看護師としての成長へのご鞭撻をいただきました。その学恩やご教導に対して私は、私の後に続く方々に、形を変えてご恩返しをしていきたいと思っています。

 ところでこの四半世紀の間に、我が国の高齢化率は急上昇し、それに伴って疾病構造も変化し、家族の介護力減少という事態が、国の深刻な問題として浮かび上がってきました。
こうした社会現象は、看護界のみならず、福祉界の再構築を促し、今や両者の統合と連携というテーマは必至のものとなっています。

 私は10年ほど前から、激動する福祉の世界にもかかわるようになり、もっぱら思想面を通して看護と介護を結ぶ役割を取るようになりました。しかし、ナイチンゲール思想を主軸にすれば、看護と福祉の統合と連携という課題の実現は、決して難しいものではないように思います。なぜなら、そもそもこの2つの世界は、19世紀の英国にあってはナイチンゲールという人によって、しっかりと繋がっていたからです。

 こうした背景に力を得て、私はそれまで私自身で解き起こしたナイチンゲール思想を機軸にしつつ、それをさらに充実、発展させる実践理論の構築に力を注ぐことにしました。今ではそれを「KOMI理論」と名づけています。

 KOMIという名称は、私の本姓「小南」(コミナミ)からとったものですが、一方で、"金井方式のケア論”という意味をもたせるために、「Kanai Original Modern Instrument」の頭文字に由来する呼称としても使えるように、遊び心をも込めて命名したものです。KOMIという語に“ナイチンゲール思想を継承するもの”という内容を盛り込ませて、私の長年の夢を実現する手立てにすることについて、看護界の方々はきっとお許しくださると思います
 現在この理論は、13年前に創設されましたナイチンゲール看護研究所 (The Florence Nightingale Archives)が主催するセミナーの中で、毎年多くの看護職や介護職の方々に伝えております。

 またKOMI理論は「KOMIチャートシステム」という記録システムを持つことによって、看護と福祉の連携を支える力となり、21世紀の我が国のケアシステムの根底を担う思想として成長・発展していくことが期待されています。新しい世紀には、セミナーの終了生や、KOMI理論研究会に所属しているメンバーたちが実践の現場で活躍し、ケアの世界を大きく変革していく力になってくれることでしょう。その時わが国は、19世紀中葉にナイチンゲールが描き目指した姿を、世界のどの国にも先駆けて実現しているはずです。

(『看護教育』Vol.41 No.8から転載)
   
 
              
   
 
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