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ナイチンゲール看護研究所
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“看護の発見者” としてのナイチンゲール

 ナイチンゲールは、『看護覚え書』(1860年)において、人類の半分を占める女性たちに向けて、家族の健康を守り、かつ病気から回復するために必要な考え方や視点について、当時の最高の科学的知識を土台にして、人類史上初めて「看護とは何か」という看護の定義を明らかにした人だったのです。それは“看護の発見者”と呼ぶに相応しい内容でした。

 ナイチンゲールの看護観を知るうえで、大事な鍵となる言葉がいくつかあります。
 その1は「自然」という言葉です。ナイチンゲールが強調したのは、人間という生命体が持っている「自然」であり「自然治癒力」または「自然の法則」「生命の法則」と呼ぶに等しいものでした。それは人間の生き方を左右する本質的なテーマとつながっている発想です

 その2は「生活」という言葉です。人間の生命は人間の「生活」のあり方によって、健康にもなり、逆に不健康にもなっていきます。ここに「生活」の持つ大きな意味があります。
 つまり、人間の生命は、生活のあり方によってその質を変化させ、健康をめぐって様々な状況を創り出していくのです。ナイチンゲールは“病気は生活が創る”という発想を大事にした人です。

 その3は「生命力」という言葉です。この生命力とは、その人の内に自然の中で与えられたものであり、生命活動を営む根源的な力となるものです。また、人間世界における「生命力」は、人間が作り上げた「生活」や「社会」に影響を受けて形成されるものであり、常にトータルな姿として存在します。




・看護がなすべきこと、それは自然が患者に働きかけるのに最も良い状態に患者を置くことである。

・看護とは、新鮮な空気、陽光、暖かさ、清潔さ、静かさなどを適切に整え、これらを活かして用いること、また食事内容を適切に選択し適切に与えること、こういったことのすべてを患者の生命力の消耗を最小にするように整えること、を意味すべきである。
 

 


   この二つの文章は、『看護覚え書』の中に記載されたものですが、見事に看護の本質を表現したものとなっています。つまり、看護の働きは身体内部に発動する自然の働き(自然治癒力)が、最もその力を発揮できるように、自然界の要素を適切に取り込むことも含めて、生活のすべてを最良の条件に整えることであるというのです。

 看護とは“その人の生きる力(生命力)に力を貸すことである”と言い換えることが可能ですが、具体的な力の貸し方は、あらゆる「生活」場面を通して、あらゆる手段を思考しながら、最も有効と思われる方法で行われます。加えて提供する看護が、そのつど患者の生命力の消耗を最小にするように配慮されるべきであるということです。

 ナイチンゲールの見事さは、“これが看護である”と定義づけた点です。そしてこの発想 は今も昔も変わることなく、看護の本質として、看護の行為を支えていく思想であると考えられる点です。ナイチンゲールは『看護覚え書』を通して、この思想を国民に広く訴えました。それは誤解や偏見に満ち満ちていた看護の世界に、新鮮な風が吹きこんだ瞬間でした。

 また彼女は、『看護覚え書』の副題を「What it is and what it is not ― 看護であること、看護でないこと」としました。今行われた看護が果たして“看護であったのか、なかったのか”判断をくだすのは看護師自身です。

 看護の専門性や看護独自の機能というとらえ方は、ナイチンゲールによる看護の定義の記述があったことで理解が可能となり、私たちは、まっすぐに1つの道をまようことなく歩むことができるようになったのです。

 看護の価値を発見したナイチンゲールは、世に近代看護という制度と職能の確立を通して誰もが健康的で人間らしい生活を送ることができる社会の仕組み作りに貢献したと言えるでしょう。したがって、ナイチンゲールの『看護覚え書』は、そこに看護の定義が解き記された価値ある著作というだけでなく、人間社会のあり方と人間個人のあり方とを導く「啓蒙書」でもあったと言えるのです。
 
 
   
              
   
 
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